ついにゆうこさんと会う日がやって来た。
今回はゆうこさんの住んでいる地域へ行くので、時間に余裕を持って駅へと向かった。
待ち合わせに間に合う時刻の電車よりも１本早い電車に乗って向かったのだが、これは普段行く機会がない場所だったので、待ち合わせ前に少し駅周辺を見て回ろうと思ったからだ。
少し歩く事によって、待ち合わせ時間には気持ちを落ち着かせておきたかったのだ。
もちろん会話をする時の話題も頭の中で復習していた。
そしてついに待ち合わせの時間となった。
「こんにちは」
声がした方に振り向いてみると、そこには１人の女性がいた。
「こんにちは」
僕もすぐに挨拶を返す。
見た目での第一印象は大切だと思うが、会話での印象もかなり大切だと思う。
なので僕はおそらく今年１番と言っても過言ではないくらいの丁寧な挨拶をした。
ほんの一瞬だけ僕の時間が止まる…というのも、ゆうこさんの姿を見ていたのだ。
もちろんまじまじと見るのは失礼に当たるので、ほんの一瞬確認したかっただけである。
待ち合わせ場所で合流した後は、そのままベラベラ話す事もなくすぐにお店の方へ向かうと思ったので、移動前にゆうこさんを見ておきたかったのだ。
３５歳と言っていたが、見た感じはもう少し若く見える。
ここで迷った事があるのだがそれは、
「年齢よりお若く見えますね」
「３５歳には見えないですね」
そう、この台詞を言うべきか言わないべきか迷ったのだ。
しかしながら、下手な事を言うと誤解を招いてしまう可能性もある。
特にこの、
「３５歳には見えないですね」
という言葉…この見えないというのは、上にも下にも受け止められる可能性がある。
もちろんもう一言添えて、
「もっと若く見えます」
と言えば誤解はされないだろう。
ただ、会ってすぐの場面で一言添えるという事まで頭が回らなかったのは事実だし、仮に言えたとしてもお世辞に捉えられる可能性はある。
いろいろ悩んだが、その事については何も言わなかった。
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